相続した賃貸用不動産の確定申告は誰がする

亡くなられた方の財産のなかに、賃貸用不動産がある場合、相続した後の不動産所得の確定申告が必要になることがほとんどです。

相続財産に賃貸用不動産があるとき

遺産分割協議書を作成したあとに、相続した不動産の登記を済ませて、ほっと一息ついたのもつかの間、翌年3月には、賃貸用不動産の収支をもとに確定申告する時期がやってきます。

亡くなられた方が、生前ご自分で不動産所得として確定申告していた内容を引き継いで、相続人が、亡くなられた日から12月31日までの期間の分を確定申告することになります。

その賃貸用のマンションや建物を、複数の相続人が共有で相続したり、土地と建物をそれぞれ別の相続人が相続している場合があります。その場合は、誰が確定申告することになるのでしょうか。

不動産の名義(所有)者が確定申告する

不動産所得は、その資産から生ずる所得の場合、その資産の所有者(名義人)が確定申告することになっています。

A.共有名義不動産の場合

共有名義の不動産の場合は、それぞれの所有者が自分の持分割合に応じて収入と必要経費を計算して、確定申告をします。

例えば、兄と妹で2分の1ずつの持分でマンションを相続して、年間の家賃収入120万円、必要経費が20万円だったとします。この場合、不動産所得は、

120万円 - 20万円 = 100万円

となり、この2分の1の、50万円を不動産所得として確定申告することになります。

B.土地と建物を別の相続人が相続した場合

例えば、妹が相続した土地のうえにあるアパート(建物)を兄が相続した場合、アパートを所有している兄が、家賃収入と必要経費を計算し、不動産所得として確定申告することになります。

税務上の問題が発生することもある

妹は、兄から地代をもらっている場合、地代収入と必要経費を計算し、不動産所得として、確定申告することになります。

ただし、妹に適正な地代(近隣の相場に近い金額)を支払っているかどうかで、税務上の問題が発生することがあります。相場からかけ離れた安い地代を支払っているときや、地代を支払っていない(無償)場合は、適正な地代との差額がみなし贈与とみなされ、贈与税がかかる場合があります。

兄と妹が、生計一(生計を共にしている)の場合は、考え方が変わってきます。詳細は、税理士等にご相談ください。

遺産分割の際に、相続後の確定申告まで考慮に入れることができると、良いですね。

■編集後記
昨日は、年末調整業務が大詰め、夕方税務相談と税理士会支部の広報部会と続き、濃い1日となりました。胃腸も重く、腰も痛い感じです。
(記事担当:江原)