電帳法では、会計ソフトで作成する各種財務諸表やスキャナ保存も対象になりますが、ここではお客様にいちばん実務でやっていただきたい『電子取引の保存』に焦点を当てて説明します。

改めて知っておきたい電帳法の基本
納品書・請求書・領収証などの書類をメールで受け取ったり、カード会社や通販サイトから自分でダウンロードしたりする機会が一気に増えました。
そんな時代の変化に対応するために定められたのが電子帳簿保存法(電帳法)です。
2024年(令和6年)で猶予期間が終了し、電子で受け取った書類は電子のまま保存することが完全に義務化されました。
紙に印刷して保管するだけでは不十分というわけです。
電帳法の基本はとてもシンプルで、「電子で来たものは電子で残す」「後から検索できる状態にする」という2点です。
検索性の確保には特別なシステムは不要で、ファイル名やフォルダ分けで十分対応できます。
電子で受け取った書類の保存方法
実務で最も注意すべきポイントは、サイトに閲覧期限があるということです。
クレジットカード会社の明細やネットショップの領収証は、数カ月経つと閲覧できなくなることも珍しくありません。
「あとでダウンロードすればいい」と思っていると、期限切れで取得できず保存義務を果たせない…という事態になりかねません。
電子書類の保存は、次の流れで行うのが基本です。
1. 届いたらすぐダウンロードする
2. 検索しやすいファイル名をつける
3. 取引先別・月別など、適切なフォルダへ分類して保存する
実務で失敗しないポイントと保存期間
まず大事なのは、「受け取ったその場で保存する」習慣をつくることです。
メールで届いた書類はすぐにダウンロードし、サイトで閲覧したものはその場でPDF保存。プリントアウトすると安心してしまいますが、紙では保存義務を満たせません。
あくまでも電子データの保存が必要です。
また、電帳法での保存期間は7年(場合により10年)と、従来の紙書類と同じ期間が求められます。長期間の保存に備え、フォルダ分けやファイル名のルールを一定にしておくとよいでしょう。
私たちは「以前説明したから、皆さん理解しているだろう」と思いがちですが、実際には繰り返しお伝えし、日々の習慣として取り入れていただくことが大切だと改めて感じています。
記事担当:相馬

